体外受精(②採卵~体外受精一番の頑張りどころ!~)
さて、体外受精で一番の難関ともいえる採卵がついにやってまいりました。
採卵とは卵巣に直接針を刺して卵胞の中にある卵子を卵胞液ごと吸い出すというものです。
詳しく知るまではてっきり2cm程度に育った卵胞そのものを吸い出すのかと思っていたのですが、その卵胞の中身をチューっと吸い取るらしいですね。
この採卵日、直前までいつになるかわからないんですよね・・・
採卵日の見定めも先生の腕の見せ所なのでしょう。
私のように卵胞の数がたくさんできてしまっている場合、育ち方も卵胞によってばらばらなので、あまり全体が育つのを待ちすぎると育ちすぎた卵胞がだめになってしまうかもしれないし、排卵してしまうかもしれないし(排卵してしまうとその周期はぱあになるそう)、他にもOHSSという卵巣過剰刺激症候群のリスクも高まります。
だからといって採卵が早すぎると未成熟で採卵したはいいけどちゃんとした卵子が一個も採れないなんてこともあるということでした。
なんて奥が深いんだ不妊治療・・・!
直前まで日程がわからない上、私の病院の場合採卵は平日の午前中と決まっているので、会社を休む必要があります。
「どうしても休めない治療が・・・」と説明して、急遽その日は会社を休ませて頂きました。
(午前休でも行けたかもしれませんが、それなりに体に負担がかかるうえ、当日採卵する人の人数などによってもかかる時間はかなり変動すると思うので、休むのがベストかと思います。私も結果的に休んで正解でした。)
病院によっては全身麻酔のところもあるそうですが、うちのクリニックは座薬と点滴と卵巣に麻酔をふりかける(?)程度というもので、場所によっては普通に痛みは感じると聞いていました。
私は幸か不幸かものすごい数の卵胞が育っていたので戦々恐々としておりました。
30個くらい育っていると聞いていたので、30回近くほぼ無麻酔の状態で卵巣に針を刺されて、耐えられるのか?!
そもそも当日までちゃんと排卵せずに、大きくなりすぎもせず、いい感じに育ってくれるのか???
前日まで不安で不安でたまりませんでした。
ものすっごい緊張したのを覚えています・・・
前日が一番不安&緊張で、当日は一周回ってふっきれていました(笑)
その日は忘れもしない、ものすごい晴天で気持ちのいい青空でした。
8:30頃病院へ向かいます。
私以外に採卵する人は3人もいました!
おそらく採卵予定数の多い順に後回しにされるのか、私は一番最後でした。
手術着のような服に着替え、下着を脱いで、頭には髪の毛をしまうためのキャップを装着。
下着は脱いで、生理パットを装着してポケットにインするよう指示あり。(採卵後装着するため)
麻酔の座薬(看護師さんにお願いして挿入してもらう、屈辱的)&点滴(15分程度)でぽわぽわと気持ちよくなってきます。
かなり待たされたので麻酔が切れないかドキドキしていたのと、手術室から聞こえてくる機械音が怖くて、恐怖と緊張でがちがちでした。
終わったとき「〇個採卵できました、お疲れさまでした!」という声が聞こえて、「いいなーーーうらやましいなぁぁぁ私も早くそっち側の人間になりたいーーーー」と切望しておりました。
2時間以上の待ち時間でしたが、この時間は永遠のように長くて、本当に本当に不安と緊張でいっぱいいっぱいだった気持ちを今でもありありと思い出せます。
その間、定期的に看護師さんが話にきてくれて本当に救われました♡(天使♡)
あと、いつもやっていたスマホゲーム(トゥーンブラスト←中毒性あり)をやって気を紛らわせていました。
ついに、ようやく、私の番が来てしまいました。
まずは埃などを吹き飛ばす風を全身に受ける洗礼を受けた後、手術室のような部屋に入ります。
いかにも手術室といった感じのものものしい雰囲気で、その雰囲気でまた恐怖がましましに。
冷たいベッドで横になり、足を開いてがっちり固定されて、あの手術室でよくあるめちゃくちゃまぶしいライトで下半身を照射されるという屈辱を受けます。
手術着に武装したいつもの先生や看護師さん、培養士さんが動き回り、緊張感が漂っています。
横には超音波のモニターがあり、私も採卵の状況を見ることができるようになっていました。(怖)
まずは膣内の洗浄・消毒ということでぐりぐりされます。
人によってはこれが痛かったというほどみたいですが、確かにそこそこ違和感と痛みはありますがまだ耐えられます。
その後麻酔を振りかけられます。(ほぼ感触なし)
では早速採卵START★
超音波のモニターで針が刺されているところが見えます、なんと恐ろしい・・・(見なきゃ見ないでいいのですが)
針が卵子を吸い取った後しばらくすると卵胞がしぼんで行くのが見えます。
最初は平気で、痛くないところは全く痛くなかったのですが、時々何なのでしょうか、痛点?に当たった時なのか、痛い時はなかなかの痛みです。
生理痛のときのどーんとした痛みを1点に集中させたような痛みです。
耐えられないほどでもないのですが、私の場合採卵数が多くて時間が永遠のように感じられたのと、緊張と不安と恐怖と、それと今までの不妊治療の歴史が走馬灯のようによみがえってきて、何の感情なのかぶわーーーっと涙が止まらなくなりました。
涙がボロボロ流れて先生も心配するレベル(笑)
でも途中であきらめるわけにもいかないですから、「大丈夫です、怖いだけなので!」と唇をかんで耐え忍びました。
そんなとき、看護師さんが隣でずーっと手を強く握りしめて「大丈夫だよ~!もうちょっとだからね!」と励まして応援してくれて、本当に救われました。本当に天使・・・。
きっと握り返す私の握力で痛かったことでしょうに・・・。
そんな永遠にも感じられる採卵(30分くらいだったでしょうか)が終了し、放心状態でいると、先生が「25個とれたよ~!」と教えてくれました。
そんなにも採れたの?!とびっくり仰天です、よく頑張ったよー(泣)
まあ痛みとしてはそこまでだったけど、もう二度と味わいたくないな、とは思います(笑)
その後しばらくお腹が痛くて、30分程度病院で安静にしたのち帰宅しました。
お腹の痛みは引きましたが、疲労困憊で家に帰ってから倒れるように眠りました。
(待ち時間込みで家に帰ったのは11:30頃だったでしょうか。8:30から始まり約3時間かかりました。会社休んでおいてよかった。)
最後に看護師さんが「よく頑張ったね、○〇さんは本当我慢強いね、私たちの前くらいでは痛いとか辛いとか、弱音吐いてくれていいんだよ!」と言ってくださり、またそんな優しい言葉をかけられたらもう涙は止まりません。
確かに、不妊治療は我慢ばっかりで歯を食いしばって耐え忍ぶことばかりだったけど、たまには弱音吐いてもいいんだよなぁ、と肩の荷が下りた気がしました。
私の人生もそう、いつも一人で背負い込んで頑張りすぎてしまうところがあるので、もうちょっと周りに甘えたり頼ってみようかなと思ったのでした。
(採卵で人生を見つめなおすのでした。)
不妊治療を通して一番印象深い大変な一日でしたが、手術室がお産のときのシチュエーションに似ているのでこの経験があったからお産は余裕で乗り切れたような気がしています!
もちろん物理的な痛みはお産の方がはるかに痛いのですが、お産は頑張れば子供に会えるという喜びがすぐ後に待っているけど、採卵は頑張ったところでここから先が長いので精神的な部分も含めると採卵の方が辛かったような気がしています。